転職エージェントが伝授!面接に呼ばれる「職務経歴書」と「履歴書」の戦略的作成術

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転職活動において、応募書類は「あなたという商品を、企業にプレゼンするための企画書」です。

私たち転職エージェントは、毎日何十通もの応募書類に目を通し、そして企業の人事担当者が「どの書類に目を通し、どの書類を読み飛ばすか」を間近で見ています。

驚くべきことに、採用担当者が1通の応募書類に目を通す時間は、平均してわずか「数十秒」と言われています。

スキルや熱意があっても、それが伝わらない書類では、面接という「本番の土俵」にすら上がれません。

この記事では、転職のプロとして、多忙な採用担当者の目に留まり、「この人に会ってみたい」と思わせるための「職務経歴書」と「履歴書」の戦略的な作り方を徹底解説します。


 

第1部:職務経歴書(=あなたを採用するメリットを伝える「提案書」)

 

職務経歴書は、あなたの「これまで」と「これからできること」を具体的にアピールする最重要書類です。フォーマットは自由ですが、「読みやすさ」と「具体性」が命です。

 

1. 基本構成とフォーマット

 

まずは全体の構成を決めます。
 

  • 職務要約: あなたが「何者か」を伝えるキャッチコピー(100〜200文字程度)
  • 職務経歴: これまでの具体的な業務内容と実績
  • 活かせる経験・スキル: PCスキル、語学力、専門知識など
  • 自己PR: 経歴では伝えきれない「強み(ポータブルスキル)」

フォーマットの選び方

  • 逆編年体式(推奨):
    • 内容: 直近の職歴から古い職歴へと遡って書く形式。
    • 向いている人: ほとんどすべての人。採用担当者は「直近(現在)何ができるか」を最も知りたいため、これが主流です。
  • キャリア式:
    • 内容: 「営業」「マーケティング」「開発」など、職務内容(キャリア)ごとに経験をまとめて書く形式。
    • 向いている人: 転職回数が多い人、複数の職種を経験してきた人、特定の専門性を強くアピールしたい人。

 

2. 職務要約(最重要)

 

冒頭の数行で、採用担当者の心を掴みます。ダラダラと書かず、「①誰が」「②何を」「③どれくらい」「④何ができるか」を簡潔にまとめます。
 

NG例: 「大学卒業後、A社に入社し営業を経験しました。B社ではマーケティングを担当し、やりがいを感じました。C社ではリーダーとして頑張りました。」

OK例: 「大学卒業後、一貫してIT業界で法人営業(BtoB)を約7年経験しました。直近のC社ではリーダーとして、新規開拓を中心にチーム(5名)を牽引し、年間MVP(達成率140%)を獲得しました。特にSaaSプロダクトの拡販と、中規模チームのマネジメントを得意としております。」

 

3. 職務経歴(「事実」と「成果」を分ける)

 

ここがメインディッシュです。「何をやっていたか(事実)」だけでなく、「どんな成果を出したか(成果)」をセットで書くことが鉄則です。
 

  • 会社概要: (社名、事業内容、従業員数、売上高など)
  • 所属: (〇〇事業部 〇〇部 〇〇課)
  • 期間: (20XX年X月~20XX年X月)
  • 業務内容(事実): 箇条書きで具体的に示す。
    • (例)大手製造業向けに、基幹システム(ERP)の新規開拓営業を担当
    • (例)メンバー3名の育成、案件進捗管理
  • 実績(成果): 必ず「数字(定量)」で示す。
    • (例)2023年度:売上目標1億円に対し、1億2千万円(達成率120%)※部署内10名中1位
    • (例)新規契約数:平均月5件(前任者比150%)
    • (例)業務フローの見直しにより、チームの残業時間を月平均10時間削減

 

アドバイス:数字にできない場合
事務職などで数字が難しい場合は、「定性的な成果」や「工夫」を書きます。
(例)「マニュアルを作成し、新人(派遣社員)の教育期間を従来の5日から3日に短縮」
(例)「請求書フォーマットを統一し、月初の経理処理ミスを0件に削減」

 

4. 自己PR(「強み」をエピソードで補強)

 

職務経歴で示した「実績」の裏付けとなる、あなたの「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」をアピールします。
 

  • (例)課題解決力、リーダーシップ、調整力、主体性など
  • PREP法(結論 → 理由 → 具体例 → 結論)で書くと伝わりやすくなります。

 

例:課題解決力
(結論) 私の強みは、課題の本質を見抜き、周囲を巻き込んで解決に導く「課題解決力」です。
(具体例) 現職で売上が低迷していた際、原因が「既存顧客へのフォロー不足」にあると分析しました。営業手法を新規中心から既存深耕へ切り替えることを提案し、部署横断で顧客管理ツールを導入しました。
(結論) その結果、既存顧客のリピート率が前年比30%向上しました。この強みを活かし、貴社の課題解決にも貢献できます。


 

第2部:履歴書(=あなたの基本情報を伝える「公的書類」)

 

履歴書は、職務経歴書とは異なり、「正確性」と「丁寧さ」が求められる公的書類に近いものです。ここでのミスは「仕事が雑な人」という印象を与えかねません。

 

1. 基本情報・日付

 

  • 日付: 提出する日(郵送なら投函日、メールなら送信日、持参なら当日)を記載します。
  • 住所: 「〇丁目〇番地〇号」まで省略せずに正確に記載します。ふりがなも忘れずに記載します。
  • 連絡先: 日中連絡がつきやすい携帯電話番号と、ビジネスで使えるメールアドレス(GmailなどでOK)を記載します。

 

2. 写真(非常に重要)

 

採用担当者が最初に目にするのは「写真」です。
清潔感が命です。
スーツ着用(業界による)、髪型を整え、明るい表情で撮影に臨むことが大切です。
スピード写真ではなく、写真館での撮影を強く推奨します。
スナップ写真の切り抜きや、アプリでの過度な加工は絶対にNGです。

 

3. 学歴・職歴

 

  • 学歴: 一般的に「高校卒業」から記載します。学校名・学部・学科名は正式名称で記載します。
  • 職歴: 会社名は「(株)」などと省略せず、「株式会社〇〇」と正式名称で記載します。
  • 入社/退職: 「入社」と「退職」を明記します。退職理由は「一身上の都合により退職」で統一します。(会社都合の場合は「会社都合により退職」)
  • 最後: 在職中の場合は「現在に至る」、その一行下に右寄せで「以上」と記載します。

 

4. 免許・資格

 

  • 正式名称で、取得した順に記載します。
  • (例)NG:「普通免許」→ OK:「普通自動車第一種運転免許(AT限定) 取得」
  • (例)NG:「TOEIC 800点」→ OK:「TOEIC Listening & Reading Test 800点 取得」
  • 業務に関係ない資格を書きすぎる必要はありませんが、勉強中のものがあれば「〇〇資格取得に向け勉強中」と書いて意欲をアピールするのも手です。

 

5. 志望動機・本人希望欄

 

  • 志望動機: 履歴書のこの欄はスペースが小さいため、「志望動機の要約」を書きます。詳細は職務経歴書で補足するイメージです。
    • (例)「現職での〇〇の経験を活かし、貴社の〇〇事業の成長に貢献したく志望いたしました。詳細は職務経歴書に記載しております。」
  • 本人希望欄:
    • 原則: 「貴社(御社)の規定に従います」と記載します。
    • 例外: 勤務地、勤務時間(時短勤務など)で絶対に譲れない条件がある場合のみ、簡潔に記載します。
    • NG: 給与や待遇に関する希望をここに書くことは避けましょう。給与交渉は選考の過程で行うものです。

 

まとめ:書類は「あなた」の分身です

 

応募書類は、面接官があなたに会う前に抱く「第一印象」のすべてを決定づけます。
 

  • 誤字脱字は致命的です。必ず声に出して読み返し、第三者(私たちエージェント)にチェックしてもらいましょう。
  • 読みやすさを追求しましょう。 フォントや文字サイズを統一し、余白を適切にとりましょう。
  • 応募先に合わせて「微調整」しましょう。 職務要約や自己PRは、応募先の「求める人物像」に合わせて強調するポイントを変えましょう。

 
私たちは、あなたの経験を最大限に魅力的に見せるための「書類添削」のプロでもあります。一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。

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