2026年に迫る新世代のサイバー脅威:NordVPNが警告する5つのリスク

個人向けセキュリティサービスを提供するNordVPN(本社:オランダ・アムステルダム、日本代表:小原拓郎)は、2026年に顕在化が予想される主要なサイバーセキュリティリスクに関するレポートを公開しました。
AIの悪用や量子コンピューターの進展などを背景に、サイバー犯罪はこれまでとは異なるステージへと進みつつあります。
デジタルサービスやスマートデバイスへの依存が拡大するなか、一般ユーザーが直面する脅威も複雑化・高度化しています。NordVPNは、特に注意すべき5つの新興リスクを挙げています。
目次
1. インターネットの“モノカルチャー化”がもたらす巨大リスク
クラウドサービスはAWS、オフィスソフトはGoogle WorkspaceやMicrosoft Officeなど、ユーザーが特定のサービスに集中する「モノカルチャー化」が急速に進んでいます。
利便性の一方で、単一サービスの障害が世界中の数百万人に同時影響を及ぼすなど、インターネット全体の耐障害性を低下させています。
また、犯罪者にとっては“1つ攻撃すれば大量のユーザーに一度にリーチできる”構造ができあがり、攻撃の収益性が過去最大に。かつて標的ごとに個別対応が必要だった時代とは異なり、攻撃コストが大幅に下がっている点も深刻です。
2. SNSに蔓延する「誤情報」―セキュリティ軽視を促す組織的な扇動
2025年以降、SNSや掲示板では「パスワードの強化は不要」「二段階認証は面倒なだけ」といった投稿が目立ち、2026年にかけてさらに拡大すると見られています。
背後には、ユーザーを無防備な状態にして攻撃成功率を上げることを狙う犯罪組織の存在があります。
一部組織は企業並みにマーケティング部門を持ち、人気インフルエンサーを買収したり独自に育成したりすることで、危険な習慣や低セキュリティのサービスを宣伝させるなど、巧妙な世論工作が行われています。
3. 1,500円で手に入る「Evil GPT」―AI悪用時代の本格到来
犯罪者はすでに、自動でネットワーク調査・脆弱性探索・攻撃を行う自律型AIの開発を進めています。AIが自ら学習し、攻撃手法を進化させるため、スピードも精度も向上し、予測が極めて困難になります。
さらに、ダークウェブでは**「Evil GPT(悪のChatGPT)」が約1,500円で購入可能**な状況に。
何気なくAIツールに「パスワードを忘れた」「クレジットカード番号は…」などと入力した場合、ブラウザに保存された会話履歴を狙うマルウェアに悪用される危険性が高まっています。
4. 信頼崩壊:ディープフェイクと合成IDによる高度な“なりすまし”
2026年の最大の脅威は「何が本物か判別できなくなること」だと指摘されています。
ディープフェイク、音声クローニング、偽プロフィール、自動生成フィッシング、個人データを悪用した高精度の詐欺など、真偽判定が不可能なレベルの“偽物”が氾濫し始めています。
特に、実在人物の情報と架空情報を組み合わせて作られる「合成ID」は、クラウドアカウント乗っ取り、銀行口座開設、ローン契約などに悪用され、発覚まで数年かかるケースも。
AIが詐欺効率を最大化することで、詐欺サイトや偽サービスの判別は一層困難になっています。
5. 現実味を帯びる量子コンピューター攻撃―「暗号は永遠に安全」ではなくなる
量子コンピューターの進化により、現在広く使われる暗号技術が将来的に破られる可能性が急速に高まっています。
大規模な攻撃は数年先と見られるものの、犯罪者はすでに**「今データを盗んでおき、量子技術が成熟したら解読する」**という手法を採用しています。
その結果、
過去の暗号化メール
保存された機密文書
オンラインバンキング履歴
など、長年蓄積された情報が将来まとめて露呈するリスクがあります。
企業・個人問わず、量子コンピューター時代への備えは「いつかやること」ではなく今すぐ着手すべき課題となっています。
引用元記事:https://news.nifty.com/article/economy/business/12365-4760156/



