LPI-Japan、「LinuCレベル3」を再構成 ― 高可用インフラとセキュリティに特化した新試験を2025年12月開始 ―

特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)は、Linux技術者認定制度「LinuC(リナック)」の最上位層であるレベル3を再編し、「LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリスト」および「LinuCレベル3 セキュリティスペシャリスト」の2つの新たな専門認定試験を制定すると発表した。
試験開始日は2025年12月1日
で、従来のLinuCレベル3試験を再構成する形となる。また、最上位資格「LinuC システムアーキテクト」は、「LinuCレベル4 システムアーキテクト」に改称される。


背景:複雑化するシステムと新たな脅威への対応

LPI-Japanはこれまでも市場環境の変化に応じて試験体系を刷新してきた。2020年にはレベル1・2を改訂し、クラウドやコンテナなどを出題範囲に追加。
今回のレベル3再構成も同様に、マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境の拡大、システムの複雑化、増大するセキュリティリスクといった技術動向を反映したものだ。

30名のエキスパートが参画した検討会では、現場で求められる専門性を議論し、上級技術者の育成領域を**「プラットフォーム」と「セキュリティ」**に整理した。
LPI-Japan理事長の鈴木敦夫氏は「初級から高度技術者まで、段階的に成長できる新体系が完成した。オープンテクノロジーのキャリアマップとして、学習指針や人材育成に活用できる」と語る。


新試験の概要

新たなLinuCレベル3は、実務経験2〜7年の上級エンジニア層を対象とする。
「プラットフォームスペシャリスト」では、仮想化・自動化・冗長化などを駆使し、Linux/OSSによる高可用性プラットフォームを構築・運用できる能力を評価。
「セキュリティスペシャリスト」では、Linuxシステムの保護設計、権限管理、監査、セキュアな通信基盤の構築といったセキュリティ全般のスキルを測定する。

両試験とも60問・90分で構成され、全国の試験センターおよびオンライン受験に対応。
受験予約は2025年11月4日開始、受験料は2万7,500円(税込)。英語版は2026年春に開始予定。
また、2026年5月31日までに受験した不合格者を対象に、2回目を無料とするキャンペーンも実施する。

現行のレベル3試験(300、303、304)は2026年11月30日で終了する。


生成AI時代に求められる「高度な基礎技術力」

LPI-Japanによると、2019年以降の現場ヒアリングでは「問題を予見して解決できる上位技術者の不足」や「便利な機能依存による基礎理解の欠如」が課題として浮上していた。
鈴木理事長は、「生成AIの普及で知識へのアクセスは容易になったが、根底の仕組みを理解する力が不可欠。応用力の基盤となる高度な基礎技術力が、今後の技術者に求められる」と強調する。


各社コメント:業界全体の人材育成に期待

説明会には理事企業からも賛同の声が寄せられた。
サイバートラストの青山雄一氏は「Linux基盤の高度化が進む中で、技術者のキャリアアップと日本企業の競争力向上を後押しする」とコメント。
NECの中島龍史氏は「新試験はスキルの可視化を実現し、有用な人材評価指標となる」と述べた。
日立製作所の杉本裕紀氏は「高度専門スキルを証明するもので、IT人材の育成と定着に寄与する」とし、富士通の松下文男氏も「生成AIやDXが進む中で、Linux/OSSスキルの再定義は喫緊の課題」と評価した。


LPI-Japanについて

LPI-Japanは、2000年にNEC、日立製作所、富士通など主要IT企業が中心となって設立された非営利団体。
Linuxをはじめとするオープンテクノロジー人材の育成・認定を行い、延べ42万試験・15万人超を認定
ベンダーニュートラルな試験体系として、「LinuC」「OSS-DB」「HTML5プロフェッショナル」「OPCEL」「Kubernetes技術者認定」などを展開している。

引用元記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/a240ddb12f13f78fefee7fbdf5581c12b085e71f