アイホン株式会社、国内トップシェアを誇るインターホン専業メーカー、海外展開を軸に持続的成長へ

■ 企業概要
アイホンは、国内インターホン市場でトップシェアを有する専業メーカーであり、戸建住宅・集合住宅向けテレビドアホンを主力とする。さらに医療・福祉施設向けナースコールシステム、オフィス・学校などの公共施設向けセキュリティ機器など幅広い領域に展開。
生産・販売拠点は日本のほか北米・欧州・アジア(タイ・ベトナム)に広がり、約70か国に製品を供給するグローバルネットワークを構築している。過去数年は国内の集合住宅リニューアル需要や海外販売の拡大を背景に、安定成長を維持している。
■ 競争優位性
① 国内市場での圧倒的シェア
インターホン工業会のデータによると、2024年度の国内シェアは約61%で業界トップ。屋外設置製品に求められる高耐久性や充実したアフターサービス体制が参入障壁となり、強固な市場ポジションを確立している。
② 高い商品力と技術対応力
集合住宅向け「PATMOα」や荷物認証宅配システム「Pabbit」など、時代のニーズに応える新製品を継続投入。セキュリティ性と利便性を両立した製品群は国内外で高評価を得ており、特に米国市場では品質面が評価され公的施設への導入も進む。
③ 強固な財務基盤
自己資本比率は80%台後半と極めて高く、景気変動・為替リスクへの耐性が強い。安定した財務体質が中長期的な成長投資と還元の両立を可能にしている。
■ 最新業績(2026年3月期 第1四半期)
売上高は143億円(前年同期比▲9.8%)、営業利益1.9億円(同▲87.9%)と減収減益。ただし、下期偏重型の業績構造であり想定の範囲内。
北米市場では関税の影響により販売代理店が在庫調整局面にある一方、国内の戸建住宅向けでは価格改定前需要やワイヤレステレビドアホンの好調で大幅増収。
通期計画(売上高654億円、営業利益45億円)は据え置き。北米の回復および国内リニューアル需要の拡大を見込み、下期以降の回復基調を維持する見通し。
■ 成長戦略
長期経営戦略「2032年ROE10%以上」を掲げ、第8次中期経営計画では海外事業を成長の軸に据える。
特に市場ポテンシャルの高い北米では、現地開発体制の強化を進めており、治安意識の高まりを背景に高セキュリティ製品の需要が拡大。品質評価の高さからホワイトハウスなど公的施設での採用実績もある。
一方、国内では経年劣化による買い替え需要や録画・カメラ機能強化への需要増に対応。「Pabbit」や「CareRings Contact」など新規サービス領域の拡大を通じ、付加価値向上を図る。
■ 株主還元・財務方針
安定配当を基本とし、2024年3月期には年間130円(前期比+50円)の大幅増配を実施。2025年3月期も130円を維持する計画で、配当利回りは4%超。
自己資本比率の高さを背景に、成長投資と株主還元のバランスを重視。PBRが0.7倍水準で推移しており、割安感もある。
■ 総括
アイホンは国内市場で圧倒的シェアを持つ堅実企業であり、財務の健全性と技術力の高さを武器に海外市場への拡大を進めている。短期的には北米の在庫調整が重荷となるが、中長期的にはリニューアル需要・宅配対応・セキュリティ高度化といった構造的追い風を捉えた成長が期待される。
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