三菱電機、米Nozomi Networksを完全子会社化 ─ OTセキュリティ事業を強化し「Serendie」関連事業の拡大目指す

三菱電機は、工場や社会インフラなどのOT(Operational Technology:制御技術)分野向けセキュリティ製品を展開する米国企業 Nozomi Networks(以下Nozomi) を買収することを決定した。現在7.0%の株式を保有しているが、2025年中に残りの93%を取得し、完全子会社化する。買収額は約8億8300万ドル(約1300億円)に上る。

OTセキュリティ事業の強化

三菱電機はこれまで、IT分野のみならずOT分野においてもセキュリティサービスを提供してきた。工場や設備のサイバー攻撃対策として、アセスメント、コンサルティング、監視・分析サービスなどを展開してきた。

今回の買収により、Nozomiが提供する侵入検知・可視化製品を通じて得られるデータを活用し、新たなOT向けセキュリティサービスの構築を目指す。これにより、現場ネットワークの可視化や異常検知、分析サービスを高度化できると期待されている。

Nozomiの成長状況

Nozomiは近年、売上高と収益性の両面で堅調な成長を示している。

  • 2022年12月期:4,237万7,000ドル

  • 2023年12月期:6,256万ドル

  • 2024年12月期:7,469万5,000ドル

この3年間の年平均成長率は33%で、粗利率は7割を超える。

デジタル基盤「Serendie」関連事業の拡大

三菱電機は、Nozomi買収を通じて取得したデータを活用し、事業横断型サービスを実現する自社デジタル基盤 「Serendie(セレンディ)」 の関連事業拡大を目指す。売上高は2025年度見込みの6,800億円から2030年度には1兆1,000億円に拡大する計画だ。

今回の買収は、OTセキュリティ事業の強化とデジタル基盤を通じた事業拡大という、三菱電機の中長期戦略における重要な一手となる。

引用元記事:https://it.impress.co.jp/articles/-/28362