富士通、英国「冤罪事件」を背景に入札適格性見直しを要求される

概要
富士通が買収した英Horizonシステムに関連する「英国郵便局冤罪事件」を受け、富士通は2024年1月に「新規政府顧客向け入札の一時停止」を表明しました。しかし2025年4月には北アイルランド財務省の新・土地登記システム(約1億2,500万ポンド)を受注。この動きを受け、与野党76名の議員・貴族院議員が首相宛ての公開書簡で、富士通の入札適格性の即時見直しを要求しています。
入札自粛表明と例外運用の問題
富士通は入札自粛を表明していたものの、既存顧客の契約延長や類似案件については例外として扱う方針を維持。
議員団は、新規案件での受注がこの「例外運用」により自粛表明の実効性を損なうとして、政府に対して以下を求めています:
入札適格性の即時見直し
再入札案件も含む、透明性・企業統治・補償へのコミットメントの明確化
政府はHorizon公的調査の最終報告を踏まえ、必要な措置を講じる姿勢を再確認しています。
英郵便局冤罪事件とは
Horizonは1999年、富士通(当時ICLを買収)により英国郵便局向けに導入された売上・在庫・会計管理システムです。
システムのバグや不具合により、郵便局員が不正会計や横領の疑いで逮捕され、13人が自殺、59人が自殺を考えたと報告されています。精神疾患、経済破綻、家庭崩壊など、被害者とその家族に深刻な影響が広がりました。
長年、富士通と郵便局は「システムデータは正確」と虚偽の主張を続け、現場からの不具合報告は無視されていました。英国政府はすでに総額11億ポンド(約2,200億円)を支出していますが、補償の遅れや不備への批判は根強く、調査委員会は2025年10月末までに補償枠組みを明確化するよう求めています。
被害者による提訴
象徴的な被害者の一人、リー・キャッスルトン氏は、英郵便局と富士通を相手に約448.7万ポンドの損害賠償を求め提訴しました。
請求内容は、逸失利益、年金・不動産損失、事業売却損失、精神的苦痛や名誉毀損、破産誘因など多岐にわたります。氏は過去の補償スキームに対する信頼を失い、司法判断に委ねる決断をしました。訴状では、バグやリモートアクセス可能性などの情報開示不足が指摘され、企業の説明責任や統治体制の在り方が司法の場で問われる可能性があります。
引用元記事:https://rocket-boys.co.jp/security-measures-lab/fujitsu-uk-post-office-scandal-new-contract/



