【注意喚起】監視カメラが戦争の“目”に──イランやロシアによる不正アクセスが示すリスクの実態

2025年6月、イスラエル国内の防犯カメラがイランにより不正にアクセスされ、ミサイル着弾のリアルタイム把握に利用された可能性が浮上しました。元イスラエル・サイバー防衛当局者によれば、ミサイル命中精度を高めるため、カメラ映像が収集されたとされます。イスラエル国家サイバー総局(INCD)も、こうした試みが継続的に確認されていると認めました。
このような事例は過去にも複数存在し、たとえば2023年10月のハマスによる奇襲の際にも、民間カメラが事前の情報収集に使われていたとされています。また、ロシアによるウクライナ侵攻においても、国境や鉄道駅周辺の監視カメラに不正アクセスし、兵站の追跡が行われていたとの報告があります。
特にインターネット接続型の民生用カメラは安価で普及している一方、セキュリティ対策が不十分なケースが多く、標的にされやすいことが指摘されています。
▶ 背景とリスク
- 不正アクセス事例(イラン)
イスラエル国内の防犯カメラに接続し、ミサイルの着弾地点や被害状況の特定に利用。 - 過去の事例
- ハマス:2023年、ガザ周辺の民間カメラをハッキングし、作戦前の監視に使用。
- ロシア:ウクライナ侵攻に際し、監視カメラを通じて軍施設や物資移動を追跡。
- 米国:2022年、中国製監視機器を国家安全保障上の懸念から使用禁止。
- 技術的脆弱性
- 安価で広く普及したIoT型カメラは、初期設定のまま使われることが多く、パスワードや暗号化の甘さが不正アクセスの要因に。
- Web公開されたストリーミングカメラもリアルタイム情報源として悪用されうる。
▶ 対応策と推奨事項
- 市民・一般向け
- 不要なときは監視カメラをオフにする、またはパスワードを強化する。
- 自宅カメラのストリームが外部からアクセス可能になっていないか確認。
- 政府・企業向け
- 防犯・交通・自治体系カメラの使用状況とアクセス制御の再点検を実施。
- 廃止済みカメラのIPアドレスやポートが依然として開いていないか確認。
- 重要施設やミッションクリティカルなエリアではカメラ使用そのものを再検討。
▶ 参考データ
- 民間監視カメラ市場規模
- 2024年:約540億ドル(約7.9兆円)
- 2030年:890億ドルへ成長見込み(MarketsandMarkets調査)
▶ 結論
民生用の監視カメラが“軍事インフラ”として悪用される時代が現実となっています。今後は「カメラは見るだけ」ではなく、「情報漏洩のリスク源」としてとらえたセキュリティ設計が求められます。日常に潜む脆弱性が、戦時下では標的になり得ることを全関係者が意識する必要があります。
引用元記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/36c855414d3e2c4399be3978cf671da033b92350



