TMI、TIS、SMTRI、公共施設・インフラのST化を共同研究 市民参加型ファイナンスの実現可能性を検証

TMI総合法律事務所TIS三井住友トラスト基礎研究所は、公共施設・インフラ分野におけるセキュリティトークン(ST)の活用に関する共同研究を実施し、初期的な検証結果を公表した。公共資産を活用した新たな資金循環モデルの構築や、地域経済の持続的成長につなげる可能性を探る。

3社は、それぞれの法務、経済分析、技術分野の専門性を持ち寄り、「公共施設・インフラのST化に関する共同研究会」を設立。公共施設やインフラのST化について、法的・経済的・技術的観点から課題を整理し、社会実装に向けた論点を検証した。

近年、全国で廃校や寄付財産など行政保有不動産の有効活用や、地域活性化を目的としたスタジアム・アリーナ整備が進む一方、建築費高騰や老朽インフラ維持管理に伴う資金調達が課題となっている。PFI(民間資金活用による社会資本整備)やスモールコンセッションなど官民連携スキームが拡大する中、デジタルアセットを活用した市民参加型ファイナンスへの期待が高まっている。

研究会では、アリーナ施設、廃校となった小中学校、古民家、一般道路、上下水道、太陽光発電施設などを対象に、所有主体やアセット移転・譲渡の可否を検証した。

その結果、公共施設の所有権そのものを第三者へ移転することは原則困難と考えられる一方、サービス対価債権や売電収入債権などの金銭債権については、契約相手方の承諾を前提に譲渡可能と整理された。また、運営権についても、施設管理者など公共側の許可を得ることで移転可能とされるが、事業内容に応じた個別協議が必要になるとした。

研究会は、移転可能な権利や債権を裏付資産とすることでST化が可能になると分析。一方、直接紐づく権利が存在しない事業については、別の資産を裏付としたスキーム設計が必要になると指摘した。

経済性の分析では、アリーナ施設や太陽光発電施設は一定規模の事業性と安定したキャッシュフローが見込めるため、収益性と地域性・社会性を両立できる投資対象として有望視された。

一方、廃校活用事業については、案件規模が小さく収益変動も大きいことから、投資商品としての収益性は限定的と分析。ただし、地域参加型・応援型投資との親和性が高く、社会的意義を重視する投資家にとっては魅力があるとした。

また、上下水道などの大規模インフラは、収益安定性が高い一方で、法制度上の制約や事業規模の大きさから、ST化には慎重な制度設計が必要との見解を示した。

今回の研究を通じ、公共施設・インフラのST化は、「収益性が比較的安定している機関投資家向けアセット」と、「規模は小さいが地域参加型投資と親和性が高いアセット」に大別できる可能性があるとしている。

引用元記事:https://paymentnavi.com/paymentnews/175180.html