被害額は1兆円規模の可能性も──急増する「特殊詐欺」、AIニセ警官が操るマインドコントロールの恐怖

突然かかってくる不審な電話やSMS、SNSにあふれる著名人の顔を使った投資広告。こうした日常の延長線上を入り口にした「特殊詐欺」の被害が、いま日本で爆発的に拡大している。
警察庁などによると、2024年の詐欺被害額は3075億円に上った。ただし、被害を申告できず泣き寝入りするケースも多く、実際の被害規模はその数倍、場合によっては1兆円規模に達している可能性も指摘されている。
なぜこれほどまでに被害は拡大するのか。なぜ、銀行員や家族が必死に制止しても、被害者は詐欺師の指示に従ってしまうのか。
日本のセキュリティ業界を牽引するラック・金融犯罪対策センターでエバンジェリストを務める小森美武氏は、その背景に「マインドコントロールに近い心理操作」があると指摘する。
「ニセ警察官詐欺」が生む極限の恐怖
近年特に急増しているのが、警察官を名乗る人物が電話で接触する「ニセ警察官詐欺」だ。
「あなたの口座がマネーロンダリングに使われている」「逮捕状が出ている」などと不安を煽り、LINEのビデオ通話へ誘導する。
画面に現れるのは、制服姿の警察官風の人物と、警察署のような背景。偽の警察手帳や逮捕状まで提示され、被害者は一気にパニック状態へ追い込まれる。
「『捜査のために預金を確認する』『資金を保全する手続きだ』と説明され、指定口座への送金を指示されてしまう。恐怖と緊張で思考停止に陥ると、冷静な判断ができなくなるのです」(小森氏)
さらに深刻なのが、若い女性を狙った性的被害だ。
「身体検査」「証拠確認」などと称して、ビデオ通話越しに服を脱ぐよう強要し、その映像を録画・悪用するケースも確認されている。
「警察が電話やLINEで金銭を要求したり、裸になるよう指示することは100%ありません。それでも、孤立させられた被害者は“あり得ない指示”に従ってしまうのです」(同)
最強の防御策は「電話を切る」こと
詐欺の入り口はSNSやネット広告だけではない。電話というアナログな手段は、今も有効な武器として使われている。
警察官、銀行員、市役所職員、さらには家族を装う「オレオレ詐欺」まで、犯人はあらゆる“権威”や“情”を利用する。
では、私たちはどう対処すべきなのか。
小森氏が繰り返し強調するのは、驚くほどシンプルな行動だ。
「少しでも怪しいと思ったら、一度電話を切る。それだけで被害の大半は防げます」
詐欺師は、考える時間を与えずに指示を畳みかける。一度通話を切り、冷静になる時間を作れば、LINEへ誘導される可能性は大きく下がる。
「『警察だ』『役所だ』と名乗られても、必ず自分で調べた番号にかけ直してください。相手が伝えてきた番号にかけ直してはいけません。また、『+1』『+44』などから始まる国際電話番号には絶対に出ないこと。使わない人は着信拒否設定を強く勧めます」
詐欺から身を守る「3つの鉄則」
小森氏は、あらゆる特殊詐欺に共通する最低限の防衛策として、次の3点を挙げる。
1.SMSやメールのリンクは絶対に開かない
2.暗証番号は誰にも教えない
3.LINEに誘導されたら詐欺を疑う
「被害者の多くは『自分は騙されない』と思っていた人たちです。スマホを持っている以上、誰もがターゲットになり得ます。『自分も騙されるかもしれない』と知ることが、最大の防御になるのです」
特殊詐欺の手口は日々進化している。
最後に資産と尊厳を守れるのは、私たち一人ひとりの知識と行動しかない。
「公的機関からの連絡は疑う」「うまい話には裏がある」──いまこそ、この原則を徹底すべき時だ。
引用元記事:https://news.livedoor.com/article/detail/30351429/



