三菱電機、米Nozomi Networksを完全子会社化 ─ グローバルNo.1 OTセキュリティ企業をめざす

三菱電機は2025年9月9日、産業・社会インフラ向けOT(制御・運用技術)セキュリティ大手の Nozomi Networks, Inc.(以下、Nozomi、本社:米サンフランシスコ)を完全子会社化する合併契約を締結したと発表した。既に保有する持分(希薄化後7.0%)に加え、残りの93.0%を約8.83億ドルで取得する。各国の規制当局による承認を経て、2025年中の完了を見込む。買収後もNozomiは現行の体制を維持し、本社は米国、R&Dはスイスに残す。

背景と狙い

電力、鉄道、製造業などでOTネットワークの可視化や侵入検知への需要が急増する中、三菱電機は「ワンストップOTセキュリティ」戦略の中核強化を図る。
OT領域ではIoT化・DX化が進む一方、ランサムウェアや国家系攻撃が工場やエネルギー・交通の現場を標的とする事例が増加。識別・可視化・異常検知・インシデント対応を一体で提供するニーズが高まっている。
三菱電機はこれまで金融業などで培ったITセキュリティの知見をもとに、OT向けに「アセスメント→監視→分析」のサービスを拡充してきた。Nozomiとの連携により、グローバルNo.1のOTセキュリティ・プロバイダーを目指す方針だ。

さらに、Nozomiのプラットフォームを通じて得られる多様なOT運用データを、三菱電機のデジタル基盤「Serendie®」と連携させ、新たな共同サービス創出にも取り組む。

Nozomiのプロフィールと既存関係

Nozomiは2016年に設立され、従業員は約315名。売上は2022年4.24億ドル、2023年6.26億ドル、2024年7.47億ドルと成長を続けており、CAGR33%、粗利率7割超の収益基盤を有する。
2024年には三菱電機製PLCに「Arc Embedded」を実装し、現場での迅速な検知・応答を可能にする取り組みも進めてきた。買収後も独立した事業運営を維持し、マルチベンダー環境に対応する姿勢は変えないとしている。

引用元記事:https://rocket-boys.co.jp/security-measures-lab/mitsubishi-electric-acquires-nozomi-networks/