三菱電機、米Nozomi Networksを1290億円で完全子会社化へ ─ OTセキュリティ強化とSerendie事業拡大を加速

三菱電機株式会社は10日、米国のOT(制御・運用技術)セキュリティソリューションベンダーである Nozomi Networks社を完全子会社化 すると発表した。買収は2025年中に完了予定で、取得金額は 8億8300万ドル(約1290億円) にのぼり、同社の過去最大規模の買収案件となる。

三菱電機 専務執行役 CDOの武田聡氏は9日の会見で、
「Nozomi Networksの完全子会社化により、OTセキュリティ事業を三菱電機のデジタル戦略の中核に据え、デジタル基盤事業『Serendie(セレンディ)』全体を強化する。今後10年でOTセキュリティ事業の売上を10倍に拡大し、グローバルNo.1のセキュリティプロバイダーを目指す」
と述べた。

三菱電機は既に同社に7%を出資しており、今回新たに93%を取得することで完全子会社化する。買収は、2027年度までに設定している 1兆円規模のM&A投資枠 の一環と位置づけられている。子会社化後もNozomi Networksは独立運営を維持し、高成長を阻害しない形でシナジーを追求する方針だ。

Nozomi Networksは2016年設立。米サンフランシスコに本社を構え、スイスに開発拠点を持つ。従業員は約315人で、世界75カ国・1000社以上に導入実績を持つ。2024年の売上高は約7500万ドル(約110億円)、年平均成長率は33%と高水準で、SaaSモデルによる収益基盤の安定性も強みとする。

同社は、OT環境からのデータ収集、リアルタイムの異常検知、OT・IoT機器の可視化、AIによる高度な分析といった幅広い技術を保有しており、業界初のイノベーションを次々と生み出している。

武田氏は、急成長するOTセキュリティ市場について「2025年に2兆9000億円規模の市場が、2035年には15兆1000億円に拡大する」と指摘。特に社会インフラや製造業など「止められない領域」でのセキュリティ需要が急増しているとし、「Nozomiの技術により、異常をいち早く検知し顧客を守ることができる」と強調した。

三菱電機は2023年からOTセキュリティ事業を展開しており、2024年にはNozomiと協業契約を結び、自社シーケンサーに同社の侵入検知センサーを搭載した製品も投入している。今回の完全子会社化により、リスクアセスメントから対策、運用までを包括する強固なセキュリティソリューションの提供体制を確立する。

さらに、Serendie関連事業についてもNozomiの技術を全面的に取り込み、売上高を 2025年度の6800億円から2030年度には1兆1000億円へ拡大 させる計画だ。武田氏は「Nozomiのアセットを活用することで成長を加速し、2030年以降のさらなる飛躍につなげる」と語った。

引用元記事:https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/2046200.html